親子鷹という表現があります。2025年7月9日
親子鷹という表現があります。古くは巨人の星(進撃の巨人じゃないんですよ)の星一徹と星飛雄馬のような親子関係ですね。ご存じない方も多そうですので一言解説しますと、元巨人軍(言い方がまた…)選手だった父が、先の戦争従軍で痛めた肩をかばい、ジャイアンツのユニフォームを再び着て球場に戻れたにもかかわらず、三塁守備につき、肩をかばって一塁に投げる投球がランナーを威嚇する変化球だ、と川上哲治に喝破され、現役を退くという憂き目を見て、今は土方(当時の言い方。星飛雄馬は高校入試の面接で「父ちゃんは日本一の日雇い人夫です」と言いました)として長屋住まいをしながら、息子を巨人の星に育て上げる、そのために大リーグボール養成ギプスなどの超絶ヘンテコリンな器具を使うこともいとわない、という全編荒唐無稽なスポーツ根性物語なのですが、これが親子鷹です。
親のスパルタ教育に耐えに耐えて成長するわが子を描いた物語は少なくありません。実写版のように映像を見せてくれた卓球の福原愛さんもいます。ボクシングの井上尚弥氏も親子鷹の典型例でしょう。ただし井上さんの場合はずっと時代が下がって最近のことですから、父が息子に接する姿や息子にかける言葉はうんとマイルドで計算されていますね。指示通りに動かないから問答無用でぶん殴る、なんてことはまったくありません。
そこで小学校受験の話です。私はいつも思うのですが、受験ママはその真面目さゆえに、精神的に自分を追い込みがちであるなと。心配です。ママのことも心配ですが、ママは不安を抱えたまま私の元へ走ってきて「理事長先生~!ぜんぜんうまくいきませーん」「ケンジせんせーー・・・。自分の子どものことなのに、夫が受験どころか子育てにも、なにも参加してくれませーーん(泣)」という状態でいらっしゃいますからね。受け止める私のメンタルも心配です。私が夏の間、ずっと白麻のスーツでいるのは、発熱したママを少しでも涼しくお迎えするための、せめてもの手段なんですよ。あまり火消しに役立ってないでしょうか?
私が思うに、わが子の受験を支える親として、要諦はこれです。「親は監督やコーチになってはダメ」なんです。慶応会で言うならば、監督は理事長です。つまり会員さん幼児の資質を見極め、全体の作戦を立てる人が監督です。助監督は室長。コーチはわが子のプレミア・マイレッスン(個人レッスン)を担当する先生です。
監督・助監督・コーチは連携し、子どもの成長や変化に注意しながらママ、パパにフィードバックします。その助言、アドバイスを家庭で活かしていただく、という全体の作戦が必要です。ですから親は監督やコーチになっちゃダメなんです。監督が務まるのは客観視できる第三者だけです。しかもその人は責任をもってファミリーの指導ができる人です。
では親の役目は? わが子と一緒に練習するトレーナーになってください。それが父母の役目です。
慶応会の会員さんは2004年以降、一人残らず全員が志望校に合格していただいている理由はこれですね。慶応会では全滅の不合格者はひとりもいないんですよ。どうしてだかわかります? 私がボスだからです(にっこり)。