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理事長通信

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親子関係の葛藤を子どもの側から見ると、親同様に子も親を選べなかったんだ、という現実にぶち当たります。2021年9月15日

 親子関係の葛藤を子どもの側から見ると、親同様に子も親を選べなかったんだ、という現実にぶち当たります。最近は社会的機能が発達して、事象に対して言葉の割り当てが進んでいるので、子が親から受けた抑圧について、不当に抑圧を子に与え続けた親を「毒親」と言葉が割り当てられたようです。
 子育て真っ只中にいる親として、ドキリとする言葉ですね。自分がもしかしてそんな親になってはいないか? などと胸に手を当てて考えたくもなりますね。もっとも、そんなことが頭をよぎる人は、もしかしたら毒親、またはそれに近い親を持った経験があるのでしょうか?
 「親ガチャ」という新語もあります。ゲームセンターにある、お金を入れてガチャとレバーをひねるとおもちゃが出てくるという、アレですね。子どもの立場からしたら、必ずしもこのおもちゃが欲しいわけではなかった、だからがっかり。つまり親ガチャとは、違う親の元に生まれたかったよ、という状況のことです。

 最近お受けしたお母さまからのご相談です。(あのね、慶応会に心療内科の専門医の女医さんがいらっしゃいますけれど、お悩みのご相談はいつも私がお受けしておりますよ。私、保険もききませんし、自由診療費もいただいておりませんからね)
「実は、私と母との関係なのですが、下の兄弟とはとても和やかな人間関係を築いている母なのに、私とはすごくぶつかるのです」
「なるほど」
「母は亡くなる前に、うわごとを言いながら私の手を握って微笑んで、そうして逝きました。母は私とは和解ができて旅立ったかもしれませんが、私はただ取り残されたまま、心の整理もつかず、母からはありのままを愛してもらえなかった、という思いが残ったままなんです」
 うーん、けっこう深いお悩みですね。どういう慰められかたをしても、この人の心に寄り添う言葉を見つけるのは難しい、そういう類のお悩みですね。たぶん、「いや、きっとお母さんはあなたのことを愛していたと思いますよ」なんて慰めは言われたくないでしょうし。「きっとお母さんの言い方や表現が、あなたの意に染まなかったのかな」なんて言われても、そこじゃないって思うだろうし。「お互いに思い合っていても、ボタンの掛け違いがあったんでしょうね」と言われても解決にならないし。しかももうお母さんは亡くなっているので、これから関係を築き直すこともできないし。
 私にはただ、目の前でたたずむ人が、満たされなかった思いを残したままの辛い気持ちを理解してあげることぐらいしかできません。おまけに難しいのは、悩んでいる人を理解しようと努力するがために、相手が吐き出す言葉に共感したり同意しているつもりだったのが、突然「いえ、そんなに悪い人じゃありません!」と怒り出されたりすることもありますからね。身内を悪く言っていたのに、まるっきり同意するとは何事か!そこは「いえいえ、立派なお母さんじゃありませんか」とか否定しなきゃいけなかった、ということなんですね。もうね、私、その辺の精神科の専門医より場数を踏んでいるかもしれませんよ、適切な相づちの打ち方の臨床実習では。

 私はこんなふうに思います。読みたいと何度も思って手にしてみたけれど、難解すぎて読み通せない本って、あなたにはありませんか? それは四書五経のような本でなくても、いつかは征服したい専門書だったり、恋愛小説だったり、なんでもない本かもしれません。読みたいと心では思っているのに、なぜか途中で投げ出してしまう本。
 私は親に対して人間関係を構築し直したい、と思っている人に、もしアドバイスができるなら、(それも症例ごとに対処方法も違いますけれどね。最大公約数的に当てはまりそうなアドバイスとして聞いてくださいね)「たぶん、そういう本と同じなんです。だから厄介な本を敢えて読むのはやめてもいい」と答えたいと思います。最後まで読み通しても、そこに答えがなかったら、余計に厄介じゃないですか? たぶん親子間で抱える齟齬ってそういうものだと思います。放棄を勧めるのではないですが、もしかしたらわかったらわかったでさらに厄介になるかも。触らぬ神に祟りなし、と言いますしね。悩みを抱えるのは若いうちだけ。年取ったら、楽しい本を読むに限ります。

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信頼の指導47年 慶応幼稚舎・早実・慶応横浜初等部・小学校受験・中学受験・中等部受験に勝つ!

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