私は慶応会理事長という立場で、2025年5月7日
私は慶応会理事長という立場で、会員お母さまから様々なお悩みをお聞きします。何しろ私の仕事の半分は受験ママの情緒を安定させることですから。ママがストレスを抱えて情緒不安定になると、その悪い影響は100%わが子に伝わりますからね。重大懸案ですよ。もう少し、家庭内で夫が妻の悩みに寄り添ってくだされば、私の仕事は相当軽くなるのですが。
なぜそう申すのか? 妻の不満の原因の半分近くを、わが子の子育てと教育と保育に関する夫の無理解、非協力、非寛容その他もろもろを占めているからです(夫が家族のために仕事に邁進していることぐらい私にはわかりますよ)。
そして子育てについて妻に「手伝うよ」と夫が言おうものならいったいどういう事態になるのか、それが地獄のフタを開けることになることがわからない夫の不明に私は天を見上げます。
手伝うってどういうこと? あなたの子でもあるでしょう? なんで能動的に動けないの! 積極さが足らん! 自ら提案して実行せい! どうして外遊びに連れ出さないのか? 戸外で走り込みや縄跳びや体操ぐらいやらんか!という怒りを、なんで私が聞かなきゃならないの? 私、小学校受験と子育てのエキスパートですが、夫育てについては一切指導料を頂戴しておりませんので。
と申してはみましたが、私、根が優しいもので(ここ、笑うところじゃないんですよ)、つい他所の家のトラブルまで背負ってしまいます。そこで問題なのが、時折ママの愚痴から発する怨念を私が被ってしまうのですね(なぜか夫ではなく)。肩が重い、頭痛がする、首が回りにくい、とか身体的に不調になるのですぐに露見します。
そうは言っても避けて通れませんので、私は自衛のために右腕に魔除けのバングルを身に着けております。私は自らの内面と外面に縄文人と南洋からの血を濃く受け継いでいる自覚があるのですが、さらにネイティブアメリカンの血脈も精神面で受け継いでいる錯覚があります。
私が常時身に着けているのは、ランダーブルーのターコイズを9つ配したゴールドのバングルですが(ナバホ族の作品)、この一か月、どこかで不用意に外したまま行方不明になっておりました。その間私の身に、避けるべき不幸が避けられたような事故が起きまして、バングルを紛失したことにより、わが身の不幸と引き換えに神さまに差し出した、とも考えたのですが、そう割り切るには代償が大きすぎるため、私なりに一生懸命捜索を続けていました。
そして昨日、とうとう発見しました。なんと、何度も探した自宅の階段の物陰に。
私には頼りにする人がおりまして、その人は父の代から実家で仕事に従事してくださるスーパー助っ人の女性ですが(掃除洗濯炊事は言うに及ばず、経理業務までこなす人で、なんと50年近く、今でも週に2度、私を助けてくださるのです)、その人と世間話をしながら、私の魔除け探しの話になりました。
その人は仏さまの信仰に篤い人でもあり、その口から出る言葉にはやはり教えを伝える語りが感じられます。
私が魔除けのバングルを探しながら階段の隅に寄せた本を整理していると、「執着(しゅうじゃく)を離れないとみつからないでしょうねぇ」と後ろから彼女の声がかかります。
「そうだよね、探し物って、探すのをあきらめると出てくるものね」という会話の直後、私の目の先に光るものは、私が一月以上探していた、金色の帯の中で青くターコイズが光るバングルではないですか。
「あっ、あった」という私の歓声の後に、「ほらね、一度執着から離れることができたから見つかったんですよ」と。その場所は私が何度も捜索していた場所でもあるのですが。
私の執着が私の目を曇らせ、あるはずの物が目に映らなかったということでしょうか?
めでたしめでたし、で終わるのではなく、この話から私が何を導き出そうとしているのか、拙著や通信の読者の方ならもうお気づきのことでしょう。わが子の子育てのことです。あるがままにわが子を受け止め、わが子の短所ではなく長所に目を向けると、そこには子育ての希望が見出せるはずです。
決して第一志望校合格だけがゴールではないことは慶応会流の子育てを経験されている方ならご理解いただけますね。幼稚舎に合格できなかったら人生終わり、なんて執着していたら、大事な人生で迷子になりますよ