東京のお盆の頃、2025年7月23日
東京のお盆の頃、私は新たなお盆を迎えていることを意識して過ごしました。弟を想うあの日から一年経ったな、ものすごく長い一年だったなと思いながら。
西の方の空を見上げて見つけた星座はおとめ座です。これは娘の星座です。となりに私のてんびん座があります。そのとなりは父のさそり座があります。弟は何座だったかな。と弟の星座を探したところ目に入ったのは、一段と輝きを強く放つアルタイルでした。
ああ、弟の星はこれか、と思い話しかけてみました。「やあKくん、元気かい?(元気も何も、どうしたものか…)そっちで楽しくやってるかい?」。
弟は25年間、東京工業大学大学院で助教授を務め、現役のまま逝きましたので(彼が逝ったとほぼ同時期に、大学は東京科学大学と校名を変更し、東京工業大学もその名を永遠に留めることとなりました)。
そりゃあもう今は、平穏で安寧な天空の世界で、弟は好きな研究にも没頭できるでしょうし、体を壊すことも厭わないほど好きだったワインもウイスキーもビールも、適量を気にせずあおれるし、そんなふうに過ごせる彼の地はきっと楽しいことでしょう。
そして私は一考して弟に伝えました。「これから先の人生は、一緒にいろいろ楽しんでいこうな」と。
一人暮らしを楽しんでいた弟は放っておいてほしいと願うかもしれませんが、私は学生時代に、私と弟のお互いの友人を行き来して遊んだ日々に思いをはせずにはいられません。
とそうこうするうちに、私は突然体に変調と不調をきたしてしまいました。まったく無自覚に、むしろ絶好調でこの原稿を書いている最中に、急に眼球が回り始め、同時に天井もぐるぐる回転し、私はベッドに倒れこみました。そして脱水です。
その状態は48時間続き、4日後にようやく立てるようになりはしたのですが平衡感覚が心もとなく、完全に回復するまでに2週間かかってしまいました。
おそらく過度の眼精疲労、過労、夏風邪、蓄積型の熱中症など原因が重なり合ってのことだと思います。一言で言うなら「風邪」でしょう。数週間前の風邪菌が体に微量残っていたものが悪さをしたのだな、と体感が申しております。
寝ている間、私は昔の夢をたくさん見ました。私は就寝中、毎晩必ず夢を見るものですから珍しくはないのですが、いつも見る旅先での様々な出来事の夢ではなく、昔の日々を思い出す夢でした。
学生時代に日本広告写真家協会の新人賞を頂戴し、プロカメラマンになる直前にお世話になった広告制作会社の社長のことを40年ぶりぐらいに思い出しました。その時のお礼もまだしていなかったなぁ、とか。夕立の時、弟と一緒に生家の二階の窓辺に足を出して腰かけ、半身ずぶぬれになりながら雨脚の行方を追いかけて過ごしたことも思い出しました。
来し方行く末を考えた幾晩かを過ごしました。いい機会だったと思います。
健康のありがたさは、健康を失った瞬間に思い至ります。逆に言うなら健康に過ごしている日々に、自らが健康を損ねた状態のことを想像することができません。人間の想像力の限界を知る思いです。そして、万一わが身が伏せた時の現実を実感しました。つづく