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理事長通信

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前回よりつづき2026年7月15日

 前回よりつづき
 幼児であっても一人の人として人格を認めて接しなければいけない、といった論調を目にすることがあります。人としての尊厳は幼児であっても成人と同じだと思います。しかし、成人としての社会性とわきまえを身につけた大人と、いまだ社会のルールや価値観を身につけるために修業中の幼児や小中高校生に、大人と同等の人格を認めよという主張には無理があると思います。

 日本人って、幼児や子どものしつけについて、大人が配慮するあまり、譲り過ぎていませんか? 家の中のルールは治外法権と共に存在する家庭内ルールです。ですが一歩外へ出たら周りの環境はすべて社会です。無駄吠えをするワンちゃんと騒ぎまくる幼児のわが子が一緒の扱いでは、わが子がかわいそうではないですか? 少なくとも周りの人からかわいがられる存在でわが子があってほしいとは思いませんか? 

 近所の保育園で見かけた光景です。園外保育から帰園した幼児の隊列の途中のようです。入り口の手前で立ち止まった園児に、「はい、Yくん、先に進んでくださーい」と、年配の男性保育者が、とてもやわらかな口調と優しい音色の声で声をかけていました。
 私はこちらの保育園は先生の園児への言葉がけと態度が丁寧で優しくて良いなぁという感想を持ちました。
 ところがYくん、先生の声がけなどどこ吹く風でそこに立ち止まり、足元の何かに目を止めています。したがって進むべき足も止まり、手をつないだもう一人の子の足も止め、さらに後ろに続いた十人ほどの子どもたちも立ち止まっています。
 今、確かにYくんは足元の何かに注意を集中させています。もしかしたらダンゴムシがいたのかもしれません。めくれてひっくり返った土の裏側から見えた草花の細い根っこに気を取られたのかもしれません。男の子の注意を引くなにかしら興味深いものがあったにちがいありません。でも今Yくんがすべきは歩いて進むことです。
 先生にも仕事があります。みんなにもスケジュールがあります。前方を歩く先行した隊列に続いてYくんは先に進まなければなりません。

 べつにYくんの興味の多様性を否定するわけではありません。これほどくどくど馬鹿らしい記述を繰り返す必要もありませんが、この場で大人がやらなきゃいけないことはただ一つ。「ほら、Yくん、早く先に進みなさい」と促すことです。
 それでもYくんが動かなければ「Yくん、きみが歩かないと他の子たちが進めません。早く歩きなさい」と伝えることです。Yくんの興味を尊重するとしても、同時にYくんに社会性を認識させる言葉がけはYくんの成長に矛盾を生じさせません。
 それでもYくんが動かなければ、先生がこれ以上強く言って語気を荒らげるより、Yくんの手を引いて歩き始めた方がいいかもしれません。許容の範囲を超えたら強制力も必要です。
 そこでまた、たとえ相手が幼児とはいえ体に接触してはいけないとか、納得していない幼児に大人の強制力を働かせるのはよくないとか、見当違いの「そもそも論」を開帳する輩とは、もうまったく話が合いませんね。だいたいそういう人は自分の権利の主張だけが強く、伴う責任を負わない人ですから。

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