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私立小学校・幼稚園はどんな子どもを
欲しがっているか?
慶応会理事長 山岸顕司
メディアからインタビュー受ける機会が少なくない私ですが、真剣に教育をお考えのインタビュアーには、幼児教育を正しくお伝えできるよう積極的にお受けしています。以下はそういったインタビューの一例です。
★☆ 私立小学校・幼稚園はどんな子どもを欲しがっているか?
――山岸先生は、以前、私立の小学校・幼稚園で先生として入試を担当された経験をお持ちですから、入試の事情はいろいろとご存知ですね。 山岸 はい
――ずばりお聞きしますが、私立受験で成功するためにはどういった教育をすればいいのでしょう?
山岸 私がいつもご父母さまに申し上げているのは、私は受験のためにお子さまをお預かりして教育をしている意識はほとんどありませんということです。
――それはどういったことですか?
山岸 まず、小学校を受験するお子さまであっても、その前に子どもとして輝いていなければ意味がないと思っているからです。6才児として輝いていることがなにより重要なことだと信じています。
――具体的にはどんなことでしょう?
山岸 たとえばまず笑顔があること、知的なことに目を輝かせて集中して取り組んだり、友達と協力して声をかけ合いながら共同で絵を描いたり作品を作ったり、体操となればはつらつと体を思い切り動かしたり、見ていてこの子は輝いているなという子に育って欲しいのです。わくにはめず、考える機会を多く与え、自分で答えを探せるように導き、ペーパーの詰め込みなど絶対にせず、多少荒削りでも、長所と短所がでこぼこしていても、長所に光を当てて伸ばしてあげたい。そう願っています。その結果、校長先生や園長先生から「この子はいい子だ。子どもとして輝いている」と思っていただき、合格通知をいただくのです。
――そうなれば理想的ですばらしいと思いますが、受験のために特殊な教育をしなければ合格できないというイメージはどうお考えですか?
山岸 私の中には特殊な教育のイメージはありません。ご家庭の生活でお子さまが、学齢相応の当たり前のことが当たり前にできることが基本だと思います。実はそこが難しいところであることは承知しています。多くのご家庭では明らかに手をかけすぎで、生活面で子どもが自立できるチャンスをお母さまがじゃまをしていることが見受けられます。
――そんなときはどうするのですか?
山岸 気がつきしだい、レッスンの前後で直接お母さまにお話しをします。○○ちゃんはこういう傾向があるので、そこをこう改善するとさらに伸びます!ぜひお家で実践してくださいと具体的にお伝えします。どこをどうすれば改善できるのかはまったくお一人お一人違いますから指導も手作りですね。
★☆ 私立小学校・幼稚園はどんな基準で合否を出すのか?
――私立の学校はどんな基準で家庭を見るのでしょうか?
山岸 私立の学校には、建学の精神とともに創立の理念があります。どの学校も伝統をふまえ、さらにいい学校に発展させていきたいと望んでいます。ですから入試で学校は「我が校の教育理念に賛同してくださるご家庭に参加(合格)していただき、ご家庭と一緒にさらに素晴らしい学校に発展させていこう」という強い意欲を常に持っています。我が校のファンやサポーターとなってくださるご家庭に来ていただきたいのです。学校はそういった観点でご家庭を注意深く観察なさいます。
――ではどんな基準で子どもを見るのです?
山岸 学校はそれぞれ独自の教育を打ち出していますから、お迎えしたい子どももさまざまです。ある学校は未来のリーダーを育てるため、リーダーシップが発揮できる子が欲しく、ある学校は宗教教育に基づいた感謝と博愛の精神を実践できる子が欲しく、またある学校は感受性が豊かで表現力が高い子が欲しいなどです。しかしどの学校もバランスを見ていますので、すべての子を一定の見方だけで合格させているわけではありません。たとえば、慶應幼稚舎の女子は一般的には、活発で競争に打ち勝てる強さが必要というイメージが強いですが、慶応会からはおしとやかな女の子が合格したこともあります。その子は芯の強い努力家でした。受験した共学校も女子校もすべて合格しましたので、どの学校も欲しくなるような子であったことは確かです。
――どうすればそんな子に育つのでしょう?
山岸 すべての子に共通する合格の秘訣などというものは、もちろんないと思いますが、考えられることとして私がいつも実践していることはあります。
――それはどんなことですか。
山岸 伸びゆくわが子の可能性を信じてあげるように親御さんに絶えずお話ししています。これは親にしかできない愛です。子どもには早くから自分でできる「わせタイプ」とゆっくり成長する「おくてタイプ」があるのです。伸びるための声のかけ方もその子その子で違います。私たち慶応会教師も、親御さんと同じように、きっと伸びると信じて声をかけています。子どもの伸びる力を信じることがどれだけ大切なことか、これこそ教育の根幹だと思います。
――信じるだけで子どもは伸びますか?
山岸 信じたその上で、レッスンの中で具体的に改善し、ご家庭の中でできることは親御さんにご提案しています。まず子どもの長所を見つける、そこに光を当てて伸ばす。短所を細かにいじるよりずっと子どもが伸びます。指導の精神は「いつか伸びる。きっと伸びる」これが基本です。できないから叱るという教育は不毛です。
★☆ 幼児教育の可能性について
――子どもの教育は手間がかかりますね。
山岸 大切なわが子が、自分で未来に飛び立つ援助をするのが親御さんの大事な役目ですから責任は大きいですね。でもそれだけ価値のあることですから、慶応会には埼玉や千葉はもちろん、鎌倉や栃木、名古屋から毎週通う方もいらっしゃいます。
――指導ではどんなことに気をつけていますか?
山岸 子どもは一人ひとりが全く違います。個の指導も大事ですが、子どもを集団の中で見ることも大事です。4,5人または必要な課題の時は10数人のお友だちの中で、先生の指示をどう聞き分け、どう判断し、どう行動するか、どう表現するか、どう発表するか、子どもとして輝いているかを見ます。そこで改善が必要な点を見つけたら親御さんに提案をします。お子さまの現状を見抜き、そのつど提案をすることがもっとも大事なことではないでしょうか。そういった目線で指導をする延長に、校長先生や園長先生の目線があると思います。
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