前回よりつづき3 私はいつも慶応会のご父母にお伝えしていることがあります。2016年12月14日
前回よりつづき3
私はいつも慶応会のご父母にお伝えしていることがあります。
小学校受験はわが子の学力を高めれば合格できるというものではありません。親力を高め、家庭の実力を高めた子育てを実践しなければ合格という結果に届かないということです。
父親と母親が協力し、役割を分担し、毎日の生活を丁寧に送り、わが子を生活面で自立させるための良い教師になることですね。何のために? わが子を輝く子に育てるために、です。
小学校受験において、志望校に合格するために必要なことは、志望校に合格できるように子どもの能力を高めることでしょう。しかし、それはペーパーを一日100枚こなすから達成するわけではない、ということに早く気づいていただきたいと私はいつも願っています。
少なくとも中学受験までは、「まず、わが子を生活面で自立させる」ことが受験の結果に直結する大きな要因だと私は考えています。ママがつきっきりで生活面での世話を焼き、わが子には勉強だけに集中させて中学受験に成功した話はよく聞きます。しかし、わが子が自分の意思を通したい年頃にやがて差しかかった時、ママのコントロールを離れたら、なんでもママ掛かりだったわが子が自分の生活をコントロールできますか?
反抗期になって自我が強くなり、自分の意思を通したい、でも自分の生活はコントロールできない、なんでもママの言いなりだったころはママの指示通りに勉強をしていれば成績は良かったけれど、生活そのものが崩れてしまった今はママの言うことも聞けないし、自分で机に向かう習慣もなくなってしまった。そんなわが子をだれが救ってくれるのでしょう?
親の役目はわが子が「じぶんで食える」ように狩猟と収穫のやり方を教えることです。学力や学歴も、その一つであるかもしれません。しかし、大切なかけがえのないわが子には、もっと根源的に大切なものを教え込まなければならないですね。
慶応会にわざわざ、埼玉や神奈川の小学校から、校長先生が足をお運びいただくことがあります。都内の小学校からもお越しいただいております。いずれも、「慶応会で育つお子さんをぜひお迎えしたいので、今年も優秀なお子さんを送ってください」という、誠にありがたくも恐縮するご挨拶とともに、です。
小学校の複数の先生からこのようなお話をいただいています。
「慶応会のお子さんとご父母は、マナーが良いので、正門をくぐった姿を見ただけでそれとわかります。うちの事務もそう申しております」
ありがたいお言葉をいただいて、まことにうれしい限りです。
私がいつも、父母講座でご父母にお伝えしている通りです。ご縁をいただき入学できたなら、わが子が6年間お世話になる学校です。正門をくぐるとき、守衛さんに足を止めてあいさつができない親子はおかしい。窓口で声をかけてくださる事務の方に、うちの子がお世話になりますという心が持てない親はおかしい。まして先生に敬意をもって接することができない親は出直した方がいい。
それができない人を「お門違い」と言います。
お門違いって、くぐるべき門が違いますよ、他を当たりなさい、という意味ですからね。態度が変わらなければ、ほかの学校に訪れてみても、結果が好転しそうにありませんが。つづく