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理事長通信

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自己肯定感を強く持つ人は、情緒の安定した人であることでしょう。2021年2月24日

 自己肯定感を強く持つ人は、情緒の安定した人であることでしょう。その人生は穏やかで、何事にも脅かされることのない精神の安寧を約束されることでしょう。と、私は想像するのですが、果たしてそういう人はいるのでしょうか? 人の心は複雑で、傍から見て推量することと、本質とは隔たりがあるのが普通ですから。
 人格者と人から判断される人が、実は相当の自己犠牲を払ってその人格を演じていることもあるでしょう。もしも当人が、人から人格者として接遇されることを望んでいるならば、その自己犠牲は苦行ではないでしょうけれど。

 慶応会理事長という立場の私は、それこそ人格者として、人柄において周囲の尊敬を集めていた先代(父)の後に仕事を引き継ぎましたから、そういった面ではまるで周囲の期待外れでした。私も貞観政要など読みかじり、ひそみに倣おうとしましたが、心得は一向に身につきませんでした。ですから別の形で、私は後継の任を担う必要がありました。
 私を知る誰が私に人格者の偶像などを求めるものか。私は、皆を引き連れて前進するパッションと、体制に向かう反骨心(縁故などなくても、実力を磨いて合格させる信念)と、目標を完遂する実行力で成り立っています。
 20世紀においてカメラの名品を多く生んだライカ社の社長、エルンスト・ライツ二世は、「事業というものは獲得し直さなければ引き継いだことにならない」と名言を残しています。もうまったくその通り。ただのボンクラ二世が継いだ日にゃ、会社なんて3年も持ちませんぜ。
 私の度重なる仕事上のヘマを見守ってくれたのは父でした。私は10歳から18歳まで毎日、慶応会中高部の授業が終わる21:30からすべての教室の掃除と鍵かけをして回りましたから、家業の一翼を下働きで担うことは早くから身についています。父の手足となって考え、動くことは私の生活規範の根幹です。しかしながら、実務というものは簡単なものではありませんからね。どんな道でも一人前になるには、日暮れて途遠しという体験を山ほど積まなけりゃ、というわけです。そんな時、批判せず、自分を信じてくれる親の愛を感じることができれば、子はどれほどありがたく感じることか。

 私はいつも慶応会のお母さまに申し上げておりますが、子育てで一番大切なことは、「あなたを愛しているよ」とわが子が実感できるように、言葉と態度で抱きしめること、そして次に、わが子を自立させるために、自分で決めた事なんだからやり通しなさい、と突き放す愛を示すこと、です。どちらもさじ加減はいりません。たっぷりと与えることです。
 さあ、わが子を愛していると伝える伝え方はいろいろとありますよ。条件付きじゃダメなんです。できる子は愛すけれど、できないあなたは愛せない、となってしまいますからね。無条件でわが子をありのままに受け入れることです。わが子という存在をそのまま受け止めることですね。
 その上で、親としてわが子に望む姿を、わが子が実現していく過程で見守る、これが子育ての本質ですね。
 難しいことです。あーだこうだ言ったり、手を出したりしそうですよね。おまけに結果に文句を言ったり。もう、遠隔操作ですらないですね。ただの干渉。つまり親の欲をわが子に背負わせちゃいけないってことです。ああ難しい。入試なんていうのはもう、その最たるものです。合格すれば可愛いわが子だけれど、落ちたわが子は愛せない、なんてことじゃ、わが子は安心してその先の人生を歩んで行けませんよ。

 あのね、男と女の間においてもそうだけれど、親と子の間でも同じです。愛し方が下手くそだと、相手に通じないんですよ。いくら愛していても。だからね、しっかりと抱きしめて、言葉で伝えるんです。あなたのこと、愛しているよって。
 そして見守る。口出しは最低限。子に考えさせる。考えるヒントを与えるにとどめる。あー難しい。私も今回の通信、プリントして冷蔵庫に貼っておこう。

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信頼の指導47年 慶応幼稚舎・早実・慶応横浜初等部・小学校受験・中学受験・中等部受験に勝つ!

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