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理事長通信

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2020年の年頭に、なにかしら今年の抱負なり目標なりを掲げねばならぬ、かと思い、しばらく思索してみました。2020年1月8日

 2020年の年頭に、なにかしら今年の抱負なり目標なりを掲げねばならぬ、かと思い、しばらく思索してみました。昨年は慶応会の創立50周年に際し、会員さんに多くの私立・国立小学校に合格していただき、報恩ができ、充実した1年であったと感謝するとともに、さらにみなさまのお役に立てる準備を整え…などと考えるものの、なかなか目標的なものについてまとまりがつきません。
 脇道に逸れてふと考えついたのは、自分という存在を画用紙にデッサンするとどのような姿になるだろう? もっとシンプルに考えるならば、一本の線で描くとすると、自分はどういう像を描くだろうか、心を無にした状態で描く像はいかなるものか、と夢想してみました。
 ふむ。描き出した点が線として走り出した時、どこかに帰結しなければならないならば、それは描き始めた点に辿りつくのが無難であろう。すると、どれほど複雑に線を描いたとしても、その像が確かに自分を的確に描いた像であったとしても、最後に辿りつくのが開始点か。それを一番シンプルに、まったく混じりけなしに描くなら、それはただの丸い円ではなかろうか? さあ、その丸い円、少々いびつであるにせよフリーハンドで描いた丸い線画の円をどこに置こうか? どこに置くにも空中に浮かべるにしても地面に置くにしても、3次元の空間に置くならば、座標軸が要る。そこに不可欠なのは、ゼロであるすべての起点だ。さあ、自分の起点、原点はいったいどこにあるのだろう? 
 といったことを考え、考えあぐねて正月を過ごしたのですが、煮詰まった自分が自ら答えに辿り着くことはできず、突破口となったのは外からの刺激でした。

 娘と二人で連れ立って(これは幸せの起点ですね)代官山の書店に出かけ、好きな本でも買って、通りの向かいのカフェで聞きなれない名前のソーダでも飲もうか、と繰り出したのですが、それが大当たり。
 私は昔から大好きだった写真家の写真集を購入しました。それまでにも数冊は持っていたのですが、以前は見たことのなかった数葉の写真に目が留まり、魂を持って行かれてしまいました。
 ジャック・アンリ・ラルティーグという人で、画家でもありましたが、92年の生涯をアマチュア写真家として過ごした人です。
19世紀の終わりにパリ郊外で生を受け、裕福な銀行家の次男坊として育ち、父の趣味のカメラを駆使し、身の回りの日常を、心から楽しんで写真に写し止めて作品を残した人です。
 とことん好きなものに熱中し、川に遊び、兄や従弟と作った人力飛行機を飛ばし、自動車を操縦し、家庭教師と学び、女性を愛し、彼は日々の記録を写し撮っていきました。それらはすべて日常の風景ではあるけれど、生活のための姿が見えないのは、彼の生まれと育ちと経済状況がそうさせたのでしょう。
 70歳近くになってから、彼の撮った少年の頃からの写真が、アメリカで認められ、すぐさま大々的な写真展が開かれるほどに名声が高まりました。もっともラルティーグは富はもとより、名声にも無頓着な人であり、なにものにも左右されない、真の心の自由さを、生涯貫けた人であるでしょう。
 彼が残した多くの「自撮り写真」の表情からは、苦悩や懊悩や迷いや、その他人がこの世で向かい合わずに避けて通ることができない苦境を感じ取ることは難しいと思います。そこには恐れや悲しみを感じる写真も存在します。主として戦争にまつわる写真です。ですから、経済的な不安や名声を求める欲を離れたなら、この世はうんと縛りのない世界になるのでしょうね。そして平和な世の下で、ですね。
 まあ名声はともかく、経済的な不安を払拭するには、どこかの財務大臣が否定したような額の貯蓄が必要なのかもしれませんが。魂が自由でいることは、心の持ちようでいかようにもなることだけは理解できました。

 私は小学生の時に未完の小説をいくつも書いては放り出し、次いでアフリカの大地を駆け巡る写真家になりたいと夢想したのですが、それもピーター・ビアードにとっくに先を越されていて、それでも目標としていたなにがしかの新人賞を獲得してプロのカメラマンにはなったのですが、クライアントの意向を受けた写真を撮っているうちに、自分が撮りたかった写真を忘れ、自分を見失って20代を送りました。でも今日、私は外的な刺激を受けて自分の原点を思い出しました。今年は昨年にも増して充実した年になると期待しています。
 みなさまも、ご自身の幸せが追求できる実り多い一年となりますように。

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信頼の指導47年 慶応幼稚舎・早実・慶応横浜初等部・小学校受験・中学受験・中等部受験に勝つ!

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