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理事長通信

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拙著三作目はもうすぐ初校が出ます。2017年6月21日

 拙著三作目はもうすぐ初校が出ます。巻末の「おわりに」には、3人の男たちのエピソードを書きました。いずれも、私に様々な教えを授けてくれた人です。父のことがあり、ここ数日は昔のことを思い出しては、ありがたい思いに包まれる晩を過ごしています。あの頃、すっと通り過ぎてしまった時代でしたが、もっと毎日を愛おしく噛みしめて過ごしたかったな、と今にして思います。若い頃って、足踏みして待つことができないんですよね。
 
 本の「おわりに」に盛り込めなかった人物外伝です。
 バブル前夜以降、とりわけ私を可愛がってくれた兄貴分がいたのですが、そいつは怖かった。あの頃の西麻布・霞町を知る人なら、知らない人はいないはずの人で、品の良いバーのオーナーでした。身長が190センチほどで、オールバック、黒目の大きな鋭い眼光、日本人には見えない風貌で、プライベートで常にダブルスーツを着た出で立ちは、周りを圧倒していました。
 店に出入りするうちに私は彼に可愛がってもらうようになったのですが、まぁその可愛がり方の怖いこと。時おり、それは確かに私の行状に問題があったような時ではありますが、夕暮れ時に乃木坂の古いコーヒー屋に呼び出され、「ケンジ、最近のお前は腐ってる」とボコられたものです。
 パンチでボコられたことはありませんでしたが、私が精神面で浮ついている時にはそのように喝を入れられ、落ち込んでいる時には彼の店で、漆黒に塗られた鏡面仕上げのカウンターを挟んで向かい合い、ほんの数回シェイクして氷をくぐらせた極上のマティーニがすっと出てくる、といった具合でした。
 当時の私は本業の傍ら、とりとめのない小説や脚本を書いたりしていたもので、経済的に自立することなしに精神的に自立することなどない、とどこか私の中の甘えを見透かして教えてくれたことだと思います。

 昔から古ぼけた車を愛好する私ですが、その時期に、車を通じて仲良くさせていただいた人がいました。礼儀正しく愛嬌ある笑顔の人で、ヴィンテージフェラーリの一番人気というモデルを複数台所有する人でした。洗練されたセンスの持ち主で、それなりに札の切り方も心得た人なので、霞町界隈でも一目置かれる人でした。
 彼は私に「間合い」を教えてくれました。男同士、親しくつき合う時に、踏み込んでいいところ、それ以上は立ち入ることを控えること、その大事な距離感の間合いです。深く入り込むときは、徹底して相手の懐に飛び込むこと。相手が間合いを詰めなければ引くこと。それは紳士の矜持だったように思います。
 そんな彼に、たった一度だけ言われたことがあります。「うちの仕事は、本当に優しい男でないと務まらないんだよな。ケンちゃんみたいな男がうちに来てくれるとなぁ……」。彼には年頃の一人娘がおりました。過分な評価をいただいたようなら申し訳のない次第ですが、それは見込み違いでしょう。私もそれ以上の意味は測りかね、話はそこで終わりました。
 お洒落な人で、ヴェルサーチのジャケットの下にヴェルサーチの極彩色にプリントされたシルクシャツを愛用した人でした。ただ、なぜ彼が真夏でも長袖のシャツをまくることなく、ボタンを外して胸元を少しもはだけることもなく着こなしていたのか、その意味を知ったのはずっと後になってからでした。

 まだまだ他にも、いろいろな男たちに目をかけてもらい、私はでこぼこしながらも大人の男の一員になれたようです。こういう私ですから、今、仕事をする上で、少し手に余る子どものことが深く理解でき、味方になってあげられるのだと思います。(いや、私自身が当時から規格外の男であったため、練れた大人の男たちが可愛がってくれたのかもしれません。書いていて、今気づきました)。彼らを思い出しては感謝し、本物の男たちが私に教えてくれたことを、会員さんにお伝えしていかれたらと願います。

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信頼の指導47年 慶応幼稚舎・早実・慶応横浜初等部・小学校受験・中学受験・中等部受験に勝つ!

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